エルギン・マーブルって知ってる?文化財返還問題という社会テーマ

大英博物館:ギリシアのエルギン・マーブル Art Time

こんにちわ。今日もどこかをフラフラと旅しております、AJ (nobu)です。

AJ(nobu)
AJ(nobu)

今回はちょっと社会派!

文化財返還問題という、社会的なテーマに切り込みます。

神官さま
神官さま

といっても、いつもどおりの記事ですよ。

大英博物館で鑑賞三昧している時に知った社会問題だったりします。

答えのないテーマだとも思いますが、旅人としては知っといておいたほうが良い内容だと思います。

博物館めぐりの旅行を考えているあなた、この記事をよめば、あなたの旅も深まること間違いなし!

エルギン・マーブル とは

画像:大英博物館のエルギン・マーブル

エルギン・マーブルという言葉自体は、現在は大英博物館に展示されている古代ギリシアのパルテノン神殿を飾っていた彫刻を指す言葉です。

AJ(nobu)
AJ(nobu)

見事だったよねぇ。

マーブルは大理石という意味ですが、エルギンはどんな意味かと言うと、19世紀に外交官としてギリシャに赴いてこれらの彫刻をイギリスへと持ち帰った、トマス・ブルースがエルギン伯爵という爵位を持っていたことに由来します。

画像:イギリス・エルギン伯爵

こちらが、エルギン伯爵。

エルギン・マーブル 経緯

せっかくなので、もう少し詳しく経緯を見ていきましょう。

ときは、ナポレオンが活躍していた18世紀の末。1798年、ナポレオン・ボナパルトはエジプト遠征を開始します。当時の中東地域はオスマン帝国の影響下にありました。そもそもナポレオンのエジプト遠征はイギリスのインドとの貿易を邪魔するためのもの。当然、イギリスもオスマン帝国側で援助に廻ります。エルギン伯は1801年に外交官としてオスマン帝国に赴き、フランス軍の撃破に貢献しました。そのことでオスマンからいたく感謝されました。

骨董愛好家だったエルギン伯は、オスマン皇帝セリム3世の許可を得て、1802年から3度にわたって当時オスマン領だったアテネのパルテノン神殿から後に「エルギン・マーブル」と呼ばれる浮彫り壁画を神殿から剥ぎ取ってイギリス本国へ輸送したのでした。

AJ(nobu)
AJ(nobu)

初めは私財でやったらしいです。骨董好きの伯爵すげーな

しかし、それからすぐの1810年、エルギン伯が批判の的になってしまいます。

イギリスの詩人バイロンがギリシャを訪問した際、パルテノン神殿の削り取られた浮彫り壁画の跡を見て嫌悪感を抱き、著書の『ミネルバの呪い』でエルギン伯を「古典芸術破壊者」と批判したのです。この問題は、またたく間に有名になり、それ以降彼の持ち帰った彫刻群は「エルギン・マーブル」と呼ばれるようになったのでした。

20世紀にはいり、ギリシャからは返還依頼が出せれているようですが、解決には至っていません。

エルギン・マーブルの問題①所有権問題

歴史的な経緯を見ると、エルギン伯のことを責めるのは酷な気もしますよね。

太陽の精
太陽の精

ナポレオンからトルコ(ギリシャ)を守ったお礼として貰ったわけですからね。

とはいえ、ギリシャからすれば占領されていた時代に、自分たちに相談もなく勝手に持って行かれたようなものです。

正統な所有権は我にあり!というギリシャの気持ちもわかります。

AJ(nobu)
AJ(nobu)

とはいえ、人類3000年以上の歴史、言い出したらキリが無いよなぁ

一方で、現在では一級の美術品とされている、これらの彫刻作品ですが当時はそれほど価値があるものとはみなされていなかった点も忘れてはいけません。

他にもエルギン伯がイギリスに持ち帰った事によって、のちのギリシア独立戦争の戦火から逃れられたとする見方もあるようです。

AJ(nobu)
AJ(nobu)

過去の時代の責任って、本当に難しい問題ですよね。

最近のアメリカ暴動なんかとも共通する性質がある問題かもしれませんね。

エルギン・マーブルの問題②ホワイトウォッシュ

もう一つの、エルギン・マーブルに関わる問題に”ホワイトウォッシュ”問題があります。

ギリシャの遺跡って、勝手に白いイメージがありますが、本当はカラフルだったことが21世紀になってわかったって知っていました?

実は1930年頃イギリスの大英図書館職員が、元はカラフルだったのを知りながら、当時の流行に合わせて、表面をゴシゴシやって真っ白に変えてしまったのでした。

AJ(nobu)
AJ(nobu)

これは100%、イギリスに非があるよなぁ。

とはいえ、1930年の出来事を、今になって責め立てるのも違う気がしますよね。

それにこの70年間、世界中の人々が”白いギリシャ彫刻”を美しいと感じてきたわけだから、その感覚をすべて否定するのも違う気がします。

おわりに

今回は、ギリシャとイギリスが抱える、エルギン・マーブルの問題を取り上げました。

ただ博物館を楽しむのも良いですが、こういった問題があることを意識しながら見て回るのも勝ちがあるかもしれません。

AJ(nobu)
AJ(nobu)

大英博物館に行ってみると、エジプトの秘宝だらけだったりするもんね

さんざん大英博物館を楽しんだ私ですが、ちょっぴりエジプトが可愛そうになったりもしました。

太陽の精
太陽の精

とはいえ、ロゼッタストーンが無い大英博物館ってのも想像出来ないよね〜

答えのない問題だとは思いますが、知っておくことが大事なような気もします。

それでは、また次回。

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