こんにちわ。イギリス滞在が長引いております、AJ (nobu)です。
今回は、イギリスの特にウェールズを代表する文学作品を紹介しようと思います。その名も、マビノギオン。なんとなく、名前は聞いたことがあるような方もいるかも知れませんね。
イギリスの国旗のお話はこちらから⇩
イギリスへの旅行を考えているあなた、この記事をよめば、あなたの旅も深まること間違いなし!
マギノビオンってどんな本?
『マビノギオン』 (Mabinogion) は、中世のウェールズ語写本より収集した物語集です。ウェールズの神話・伝承を今に伝えるマビノギ四枝のほか、アーサー王伝説の小話も含まれています。
そうか、ウェールズ語で書かれた本なんだね。
元となったのは、2冊の中世ウェールズ語の写本になります。ひとつは1350年ごろに書かれたルゼルフの白本 (Llyfr Gwyn Rhydderch)と呼ばれる写本、もうひとつは1400年ごろに書かれたヘルゲストの赤本 (Llyfr Coch Hergest) と呼ばれる写本です。その他にも、いくつかの物語のテキストや断片が13世紀前半の写本から見つかっています。
だいたい14世紀頃には成立したお話なんだな。
ただし、今日のように知られるようになったのは、19世紀のイギリスの文学者シャーロット・ゲストによる英訳版によるものなんだそうです。
マビノギオン 解説
マビノギってな〜に?
「マビノギオン」という表記は1765年に出版された『マビノギオン、もしくは古代ウェールズのロマンスによる少年少女の娯楽』という本のタイトルが初出になるとされています。
なぜ、そのようなタイトルで出版されたのかというと、これらの散文のメインにあたる4つのお話が “thus ends this branch of the Mabinogi”(これでマビノギのこの枝はおしまい)という定型句で終わっているからだそうです。これらの4つのお話は「マビノギ四枝」とも呼ばれます。
それでは、このマビノギという言葉が何を意味するのかというと、そこは未だに諸説あるそうです。
最も有力な説は、ウェールズ語で少年を意味するmabと関連しているというものです。
マビノギ4枝とは
それでは、ここでマビノギ四枝のおはなしを、超簡単にご紹介!
- 第一枝:ダヴェドの大公プイス のお話
ダヴェドの王子プイスが黄泉の国の支配者と盟約を結んだり、結婚したり、子供が出来たり、子供が連れされたり、それを取り戻したりするお話。子供はプレデリという名前になる。
- 第二枝:スィールの娘ブランウェン
ブリテン王の妹と、アイルランド王との結婚のお話。結婚は揉めてしまい、なんやかんや戦争に発展してしまう。アイルランドに攻め込むが、死者を蘇らせる魔法の釜に苦戦する。なんとか倒すも、生き残ったウェールズ兵はプレデリ他7人だけだった。 - 第三枝:スィールの息子マナウィダン
プレデリは帰還して結婚するも、魔法の罠にかかって囚われの身になってしまう。マナウィダンというプレデリの仲間が罠にかかったプレデリを悪い神父から開放するお話。 - 第四枝:マソヌウイの息子マース
南ウェールズを支配するプレデリに対抗する北ウェールズのお話。動物に変身したり、変身させられたりしながら進む宮中劇。
ご覧の通り、前編を通してプレデリという人物が登場します。けれども、プレデリが主役のお話は一切ないという、まさかの群像劇モノ。魔法が登場するのもなかなか面白いですね。
なので、プレデリを主役にしたまだ発見されていないメインのストーリーがあるのでは?という説も存在するそうです。はたして、プレデリ伝説はどこかに存在するのでしょうか。
失われた物語ってなんだかロマンあるね
おわりに
マビノギオンは、アーサー王伝説の成立過程に大きな証拠となる可能性があり、イギリスの学者にとっては極めて重要な研究対象なのだそうです。
文学の歴史
イギリス旅行その前!知って旅行をもっと楽しもう⇨⇨コチラ