こんにちわ。今日もどこかをフラフラと旅しております、AJ (nobu)です。
今回は漢字のお話。
ヨルダンで日本語を教えていた生徒の一人に、ある日こんなことを言われました。
(上腕を示しながら)「ここに”アラブの狼”ってタトゥーを入れたいから字を教えてくれよ。”アラブ”も漢字がいいな」
「いや、やめといたほうが・・・」
ということで、ここでクエッション。アラブって漢字で書けます?
・
・・
・・・
実は、意外とないんですよね。アラビアは”亜剌比亜”と書くことができるそうですが、アラブの漢字書きは無いみたいなんです。
そんなことから、”てゆーか、誰が決めてるの?”、”すべての国名に漢字があるの?”、”海外の言語だとどうなの?”といった疑問が湧いてきたので、今回の記事になりました。
世界への旅行を考えているあなた、この記事をよめば、あなたの旅も深まること間違いなし!
誰が決めてるの?
ということで、早速、第一の疑問、カタカナ語の漢字バージョンって、一体誰が決めているのでしょうか。
実は、国名の漢字表記、誰かが決めているものでは無いようなのです。昔は漢字表記が普通でしたので、それの引用が多いですが、近年に創設された国には漢字表記がない国も多いです。
また、近年に創設されて国でも、その起源に近い国や地名があれば、そこから引用されたりするみたいです。
なるほど、結局は昔からこう書いてたみたいだから、こう書こうってだけなんだね。
ちょっと脱線。節用集という辞書の話
多くのもととなっているのは、古くは室町時代から編纂されていた”節用集”という、今で言うところの辞書だそうです。(節用集という言葉は一個の書物を指すのではなく、江戸時代には”辞書”という意味で、一般名詞化していたそうです。)
もちろん、長い期間に渡り、編纂されてきた節用集にはいろんなバージョンが有り、大きく分けて”伊勢本”、”印度本”、”乾本”があるそうです。
一番古いのが”伊勢本”で、いろは順に並んだ単語のうち、”伊勢”が一番先頭にあったので”伊勢本”と呼ばれているそうです。のちに日本の国名は巻末にまとめられたため”印度本”となり、江戸時代に印度が”い”から”ゐ”へと変わったため”乾(いぬい)”が先頭になり、”乾本”として普及したんだそうです。
辞書にも歴史があるんだね
海外の事情:外来語の中国語は誰が決めてるの?
お次は、海外の事情です。同じ問題は中国語にもありますよね。
しかしあちらは、もっと大変です。なんせカタカナが無いですからね。日本みたいに、新しいのは漢字バージョン付けなくていいや、という訳にはいきません。
調べていると、中国語の場合は、その時その時でメディアがつけることが多いそうです。(もちろん、メディアは共産党政府の検閲が入っていますけど)
また大陸では、比較的に海外の文化が先行して入ってきやすい、香港のメディアを引用することが多いみたいです。
それでも、表記のブレは多いみたいで、日常的によく使うであろうピザという言葉ですら披萨・匹萨・比萨と、いろんな書かれ方をされるみたいです。
どこも、早いもんがち・言ったもんがち、みたいな感じなんだね〜
海外の事情②:新語の男性名詞・女性名詞は誰が決めてるの?
次に気になるのは、フランス語やドイツ語にある、男性名詞・女性名詞の区分です。
日本人には馴染みがないですが、新語が男か女か、向こうの人はどうやって見極めているんでしょうかね。
こちらも、多くはメディアが使い始めた決まりが自然と定着していくようで、誰かが決めたりするものではないみたいです。
なんとなく似ている言葉に合わせたり、語感で合わせたりするみたいですね。
たとえば、台風は嵐に似ているから男性名詞らしいです。語感だと、イタリア語では末尾がoだと男性名詞、aだと女性名詞になりやすかったりするみたいです。
国名の漢字表記の小ネタ集
最期に、国名の漢字表記一覧を眺めていて、見つけた小ネタをどうぞ。
有名所をおさらい
まずは有名所をおさらいしておきますか。
- アメリカ・亜米利加
米で有名ですね。亜はめちゃくちゃ被りが多いので、略語では米が使われるようになったかも知れませんね。 - イギリス・英吉利
英国と書いて”イギリス”と読ませるほうが主流かも知れませんね。昔はエゲレスだった感がよく出ています。 - ドイツ・独逸
英仏とか、日独伊とか、世界史で出てくるやつは見覚えがありますね。ドイツは昔の国名、プロイセンの普魯西(普)も世界史でよく見かけました。 - フランス・仏蘭西
こちらも、よく見かける仏。仏教とはなんも関係ないところが面白かったりします。 - イタリア・伊太利亜
じつは、イから始まる国名はたくさんあって、さらに漢字表記だと伊の字はよく使われています。とはいえ伊といったらイタリアなあたり。さすがの知名度ですね。 - スペイン・西班牙
こちらは当て字が難しいですね。この辺の大航海時代に覇権を握った国は、発音と違った字面の国が多い気がします。諸説あるそうですが、スペインの地方であるエスパーニャからきているのだとか。 - オランダ・阿蘭陀
こちらは読みやすいですが、そもそも世界的にはオランダとは呼ばずネーデルラントですね。 - ポルトガル・葡萄牙
中国から入ってきた当て字で、葡萄の中国語読み”プータォ”が語源になるみたいです。 - ロシア・露矢亜
一時期は魯西亜と書かれていたこともあるそうですが、魯の字に”のろま”とか”まぬけ”といった意味がるあそうなので、露の字に変更になったのだとか。 - オーストラリア・濠太剌利亜
豪とか豪州と書かれることがおいですね。 - インド・印度
こちらも、古くから日本と関わりのある国ですね。
と、主要国だけでも、小ネタがたっぷりでしたね。略称ではなく国名をすべて漢字に変換したものは表記ゆれが多数あるのも面白いです。正式な表記が決まってないので、逆を言えば、適当に使われた使用例が、全てそのまま参考元となりうるため、すべて半正式扱いみたいですね。
意外と多い 中国語との違い
実は、中国語と日本語の漢字表記は一致してないものが多かったりします。有名なものだと、アメリカは日本だと米国ですが、中国語だと美国です。他にもフランスは日本だと仏ですが、中国語だと法国になり、ドイツも日本語が独なのに対して、中国語だと徳国です。
見たことあるかも な漢字の国たち
有名所ほどじゃないけど、見たことあるかも〜、な漢字で書かれた国名たちです
- インドネシア・印度尼西亜
どうあがいてもインドと印度被りしちゃうインドネシア。略字のときは3文字目を使って尼と書かれることが多いそうです。 - タイ・泰
わかりやすい。略式じゃない表記で漢字一文字な国はタイだけですね。そもそも2音節の国がタイとチリくらいですからね。 - ミャンマー・緬甸
旧名のビルマからとられた漢字表記です。タイとあわせて泰緬鉄道なんてのも、歴史用語で出てきますね。 - ベトナム・越南
こちらは歴史的な旧国名をそのまま引っ張てきたパターンですね。 - ラオス・羅宇
略字のときは中国語版から引っ張てきて老と略すことが多いみたい。 - モンゴル・蒙古
蒙古と書いて”もうこ”と読むのが一般的ですね。古い呼び方がそのまま残っているのは、なんだかカッコいい。 - エジプト・埃及
ギリギリ見たことがある気がする漢字表記。土埃の舞う、エジプト感がすごい出ています。意味から付けられている国はかなりレアですね。 - オーストリア・墺太利
カタカナだとオーストラリアと見間違えるけど、漢字だとわかりやすいですね。漢字表記にこんな利点が。オーストリアも世界史ではよく見たりするので、”墺”表記にも見覚えがあります。 - トルコ・土耳古
こちらも世界史だと、たま〜にでてくる漢字表記。簡単な字の組み合わせなところが、逆にかっこいいですよね。
他にもいろいろ豆知識
- イランとイラク・伊朗と伊拉克
伊の字は取り合いの激しさを象徴する漢字表記。せっかくなら変えてよね。イランはいっそ、波斯(ペルシア)でイランじゃだめなのかしら。ならイラクもメソポタミアで。と思ったけどメソポタミアの漢字表記は、特にないらしい。中国語だと”美索不达米亚”。奇しくも米と美がはいっている。 - スイスとスウェーデン・瑞士と瑞典
こちらは瑞被り。なかなかレアな被りな気がする。一応、両者が漢字一文字で同時に出てくるときはスウェーデンを典と略すらしい。とウィキペディアのスイスのページとスウェーデンのページに書いてあった。知名度の差なのか。スウェーデンのゆずりあい精神なのか。たぶんスイスのほうが国名が短いから、瑞をとって士だけにしづらかったのかな。 - ウズベキスタン・月即別
単純な当て字でもなければ、中国からの引用でもない。そして、かっけぇ。名付けけた人、センスあるなぁ、と思う一品。月の字がはいっているのもウズベキスタンっぽくて○。 - ベラルーシ・白露西亜
でました白ロシア。むかし、記事書いたなぁ。懐かしい。 - アイスランド・氷州
こちらもいろんな表記があるらしいですが、一番センスが光るのは氷という字を使ったやつですよね。氷島だと直球すぎるし、このくらいが僕は好きです。 - フィンランド・芬蘭
え、何この字?初めてみたんだけど?って文字も漢字国名にはよく出てきますね。芬、初めて見ました。香りという意味らしいです。 - ニュージーランド
新西蘭、牛西蘭、乳西蘭。と表記ゆれがあるみたいです。一番ニュージランドっぽいのは、、、乳西蘭でしょうか。新しい国とか、牛の国よりは羊の乳製品のイメージが強い。
おわりに
今回は各国の漢字表記について調べてみました。
意外にもルール無用なところが面白かったです。せっかくなら、全て頭文字が違う漢字で、名付けなおしてみたいですね。いつか暇の時にやってみようかな。
それでは、また次回〜!!