こんにちは、今日もどこかを旅しおります管理人こと旅人AJ
シリーズ:旅人も建築知っておけば旅がもっと面白くなる!今回も、旅人がい分の勉強がてらに記事を書きます。
旅で訪れる観光地なんて”自然”か”建物”かの二択です(暴論)
建築の知識が少しあるだけで、旅の半分がより深くなると言えるでしょう!
建築の知識があると、建物や遺跡に行った時に、より楽しめるかもしれないね
今回はイオニア式建築です。
イオニアといえば、有名な哲学者も多く排出した、今で言うトルコ西部のことだよね
前回のドーリア式から、ギリシア建築がどのように進化したのか、見ていきましょう。
ギリシャ・トルコへ旅する予定のみなさんも、建築の基礎を身につけておいて、旅をより楽しみましょう!
イオニア式建築 特徴
さて、今回もイオニア式建築を見ていく前に、ギリシア建築の概略について勉強しましょう。前回の解説と合わせて御覧ください。
ギリシア建築 解説
前回、ギリシア建築には3つのタイプ、三式があると言いましたが。そいつはいつ頃から言われ始めたのかと言うと、これもまた、はるか昔からなのです。
ギリシアの後に覇権を握るローマ帝国。その初代皇帝アウグストゥス(BC50-BC10)の時代に一人の建築家がおりました。彼の名前はウィトルウィウス。
彼の記した『建築について』は、世界最古の建築解説本として残っています。その中で、既にギリシア建築の分類として、三式が登場しているのでした。
2000年以上前からある分類ってなんだかすごいですね。
まぁ、当時(2000年前)からしても500年以上前の遺跡だし、分類とか考察とかしててもおかしくはないですね。でもなんだか不思議な感じがします。
ギリシア建築学は、彼によって多くのことが定義づけられています。
- 建築(オーダー)は柱と梁(はり)からなる
- 柱は本体(シャフト)と柱頭(キャピタル)と台座(ベース)からなる
- 梁(エンタプラチェア)は本体(アーキトレーブ)と装飾(フリーズ)と軒下(コーニス)と三角屋根(ペディメント)からなる
などと、部位の名称を定めて、役割や作用を緻密に分析したのだそうです。
細かい話はパスの方向で!
三式によってそれぞれの部位で特徴が違うのですが、大きく違うのが柱頭です。文字通り柱の頭ですね。ギリシア建築を見るときはここに注目すると良いでしょう。
ウィトルウィウスさん 深堀り
ふ〜ん、このローマのおっさんが言い出したのね。
とか、侮ってはいけません。
彼の著作はその後のルネサンス時代にまで参考にされたりしています。そして、みなさんが一度は目にしたことのあるこちら。
あ、ダヴィンチの絵だ!見たことある!
実はこいつの正式な名前は『ウィトルウィウス的人体図』と言います。ダ・ヴィンチが”ウィトルウィウスさんの言うとおりに人体描いてみたわ”って描いた絵だったんです。(ちなみに下の部分には鏡文字でそのことが書かれています)
ダヴィンチがこの絵で実践した
・掌は指4本の幅と等しい
・足の長さは掌の幅の4倍と等しい
・肘から指先の長さは掌の幅の6倍と等しい
・2歩は肘から指先の長さの4倍と等しい
・身長は肘から指先の長さの4倍と等しい(掌の幅の24倍)
・腕を横に広げた長さは身長と等しい
・髪の生え際から顎の先までの長さは身長の1/10と等しい
・頭頂から顎の先までの長さは身長の1/8と等しい
・首の付け根から髪の生え際までの長さは身長の1/6と等しい
・肩幅は身長の1/4と等しい
・胸の中心から頭頂までの長さは身長の1/4と等しい
・肘から指先までの長さは身長の1/4と等しい
・肘から脇までの長さは身長の1/8と等しい
・手の長さは身長の1/8と等しい
・顎から鼻までの長さは頭部の1/3と等しい
・髪の生え際から眉までの長さは頭部の1/3と等しい
・耳の長さは顔の1/3と等しい
・足の長さは身長の1/6と等しい
これ、全部、先程紹介したウィトルウィウスさんの『建築について』に描いてあるのだそうです。きっと建築意外にも知見が広い、偉大な人物だったのでしょうね。
すごいぞ!ウィトルウィウスさん!
イオニア式 解説
と、話を建築に戻しましょう。
そもそも、古代ギリシアは、ポリスと言われる都市国家の集まりで、それぞれが独自の政治を行っていました。また、それとは別に植民市と呼ばれる、都市国家から派遣された植民団によって作られた都市も栄えていました。
本店と支店みたいなシステムだね
イオニア式が発達したのは、現在のトルコの西側にあたるイオニア地域です。
ギリシア本土とオリエント世界を結ぶ街として、経済的にも文化的にも発展した地域になり、詩人ホメロスや哲学者タレスもイオニアの出身です。
そんなイオニアで発達したイオニア式建築がこちら。
どちら?
左中にあたるのがイオニア式になります。
羊の角みたいな、渦巻き模様が特徴的。ドーリア式と比べると装飾に目醒めたギリシア人って感じでしょうか!
とはいえ、イオニアに住んでいたイオニア人とドーリア人は別物なので、目醒めたは表現としておかしいかもですね
この渦巻はいったい、なにを表しているのでしょうか。調べたけど、あんまりはっきりとした説は見つかりませんでした。ただ、その起源はエジプトやペルシアに見ることが出来るようです。
それらの文化が流入してきやすいイオニアという土地で、この様式が花開いたのは納得ですね。
また、渦巻と渦巻の間にも”卵鏃模様”という装飾が施されています。
卵鏃模様は、長丸(卵型)とギザ(トンガリ)を交互に配置したパターンです。
鏃なんて言う字は、滅多に目にしませんが訓読みだと”ひじり”。
弓矢の先っぽのことのようです。
以上をまとめた、お手製の図解がこちら⇩
イオニア発祥とはいえ、その技法はすぐにギリシャ本土にも用いられ、この様式はギリシア世界で大流行したのだそうです。
イオニア式建築 代表
と、長々と説明しといてアレなのですが、習うより慣れろ、だと思うので見ていきましょう。
さっそく紹介は本土アテネから、dエレクチオンという建物です。
渦巻が、、、見える!見えますね。
お次は、大英博物館に展示してある”クサントスのネレイド記念堂”。
こちらも、渦巻がしっかり見えますね。
大英博物館はさんざん行ったのに、こいつはそこまでじっくり見なかったなぁ。
上の写真もWikiからの引用です。もっと早く建築を勉強しておけば、じっくり見て、写真も自分で撮れたのになぁ。。。勿体ない。
おわりに
ということで、今回は、イオニア式建築について学びました。
前回のドーリア式と比べると、よりギリシアっぽさが増した感じがしますよね。
次回はギリシア3式の最後の一つ、コリント式を勉強しますよ!
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