こんにちわ。今日もどこかをフラフラと旅しております、AJ (nobu)です。
今回は、ウェールズ!ウェールズといえば旗の真ん中に書かれている赤い竜ですね。
今回はウェールズの赤い竜伝説を調査しました。
いったい、どんな謎が秘められているのか?
イギリスへの旅行を考えているあなた、この記事をよめば、あなたの旅も深まること間違いなし!
ウェールズ 赤い竜 伝説
ウェールズの旗に描かれている赤い竜は、ウェールズ語で ア・ズライグ・ゴーッホという名前で、ウェールズという国の象徴になっています。
英語では単にウェールズドラゴンでいいらしいよ
その起源は2世紀に遡ります。小アジアで大勝利を得たローマ軍がパルティアやダキア人の使っていた蛇のような軍旗(ローマ人はこれをドラコと呼んだ)を知り、それを持ち帰ったものとされています。ローマ皇帝トラヤヌスはこれをローマ軍旗として棹の先に付けることを命じました。5世紀初頭に、ブリタニアを攻め込んだローマ軍がブリテン島から撤退して以降、ブリトン人がこれを軍旗として使用したことから、竜の描かれた旗がケルトの象徴として用いられたそうです。
もともとは小アジアの旗をローマがパクって、それをケルト人がパクったんだね。
その後、ローマ軍撤退によって生じた軍事力不在のブリテン島にサクソン人やアングル人が渡来して、ブリトン人とサクソン人の戦いが始まる事になります。その時、ウェールズは赤い竜を、サクソン人は白い竜を象徴として掲げたといいます。
『ブリタニア列王史』における赤い竜と白い竜
- ep1:マーリンの予言
ブリテンの大君主ヴォーティガン(5世紀、七王国時代に存在したと伝えられるブリトン人諸侯)は、サクソン人傭兵の反乱によりウェールズ方面へ退却した。そこで魔術師たちの助言をうけて堅固な塔を建設しようとしたが、基礎が一夜にして地中に沈んでしまう。そこで王はふたたび魔術師たちに相談すると、生まれつき父親のいない少年を探し出して生贄に捧げよ言われる。そして見つかったのが、夢魔を父に持つと言われた少年マーリン(のちの魔術師マーリン)でしたが、マーリンは魔術師達の嘘を見抜いてしまう。王と招集された魔術師たちの前で、工事の不備は地下の水たまりにあることを証明したマーリンは、王の魔術師たちに向かって「嘘の上手なおべっか使いの方々、水たまりの下には何があるかご存じですか」と問いかけ、次に水たまりの水を抜くと、その下から赤い竜と白い竜が出現して戦いを始めた。一時は劣勢と見えた赤い竜は、勢いを盛り返してなんとか白い竜を退かせた。驚いているヴォーティガンに、マーリンは、赤い竜はブリトン人で白い竜はサクソン人だと説明した。さらに、「この争いはコーンウォールの猪が現れて白い竜を踏みつぶすまで終わらない」と予言した。彼の予言は、コーンウォールの猪ことアーサー王がサクソン人を破るという形で成就されることとなる。
アーサー王はコーンウォールの猪なんて異名があったのか。いずれアーサー王伝説も勉強したいなぁ
- ep2:アーサー・ペンドラゴン
その後、ヴォーティガンはサクソン人とともに暴政を働いたため、反乱軍が次々結成され、とうとうヴォーティガンは討ち死した。ヴォーティガンの死後、ブリタニアを治めていアウレリアヌスも殺され、無政府状態となった。そのアウレリアヌスの弟がアーサー・ペンドラゴン。彼はサクソンとの戦いの最中で軍を率いていたが、その時、突然空に明るく輝く大きな星が現れた。その星はまるで燃える火の竜のようであった。光の尾を引き、その一つはガリアを指し、もう一つはアイリッシュ海を指していた。「一体あの彗星は何を意味するのか」アーサーは魔術師マーリンを呼んで尋ねた。そこでマーリンはブリトンの民がサクソンに勝たねばならぬこと、アーサーに生まれるという息子が立派な王になることを示していること、子孫は皆ブリタニアを治めていくだろうということを語った。アーサーは兄の死を嘆きつつもサクソンに勝利した。新たなブリテンの王となったアーサーは、火の竜の星を記念して2匹の黄金の竜を作り、ペンドラゴン(Pendragon)という称号で呼ばれるようになった。この称号は、ウェールズ語(ブリトン語)で「竜の頭(あたま)」を意味する。 - ep3:スィッズとスェヴェリスの物語における2匹の竜
ブリテン王スィッズ は恐るべき唸り声が五月祭前夜のたびに鳴り響く原因をつきとめるべく、弟のフランス王スェヴェリス に尋ねた。スェヴェリスは、兄上の国の竜に他国の竜が襲いかかろうとしていて、そのためにブリテンの竜が恐ろしい雄たけび声を上げているのだと告げた。スェヴェリスは2匹のドラゴンを封印する策を進言した。ブリテン島の東西南北の中心地に穴を掘り、そこに蜂蜜酒を大量に注いた桶を置き、その上に絹の布をかぶせるという策略であった。 そうして準備を整えて見張っていると、相争う2匹の竜の姿が見えたが、そのうち激しい戦いに疲れ切って両者とも穴の中の桶の底に落ちていった。ドラゴンたちは蜂蜜酒の中でやがて酒に酔い、深き眠りについた。スィッズ王はこれを見て絹の布で2匹を包み、さらに石でできた箱に閉じ込め、地中深くに封印した。こうして竜は2匹とも封印されることとなった。この場所は後にディナス・エムリスと呼ばれ、ヴォーティガンが砦を築いた伝説の舞台となる.
ep3はマビノギオンのお話の一つなんだそうです。マビノギオンはこないだ勉強したので、そちらの記事もどうぞ⇩
竜とウェールズ
ドラゴンの説明において、たいていは「西洋世界におけるドラゴンは邪悪とされる」とされますが、現在のウェールズでは土地も国民も「我々は赤い竜である」としており、赤い竜は国や民族の象徴・化身です。またラグビーウェールズ代表は愛称は「レッド・ドラゴン」であり、ウェールズは「ドラゴン=ハート(精神)の国」として自称することもあります。
また前述のように、赤竜はアーサー王の象徴でもあり、そこから転じて、英国、特にイングランドの象徴の一部にもなっていきました。
竜とロンドン
テューダー朝の祖ヘンリー7世は、自らの王権を正当化するためにアーサー王伝説と絡めつつ、ウェールズ公家に繋がる血筋を最大限に利用しました。ゆえに、ロンドン・シティの紋章もテューダー家の流れを汲む紋章であり、今でも首都ロンドン中心部の象徴には竜が使われます。ただしシティのドラゴンの色は赤竜ではなく、赤が混じる銀竜になっています。
おわりに
そういえば、ロンドンの街中にもドラゴンモチーフがたくさんありました。思わぬところがつながりました。調べたことが、肌で感じた感覚とリンクするのはとてもおもしろいですね。
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